
相続した不動産にかかる税金は?登記から売却まで解説
土地や実家、マンションなどの不動産を相続した方のなかには、「どのような税金がかかるのか」「相続登記や名義変更はいつまでに行うのか」と不安を感じている方もいるでしょう。相続した不動産には、相続時だけでなく、所有中や売却時にも税金・費用が発生する場合があります。この記事では、相続した不動産に関係する税金の種類をはじめ、登記の必要書類や費用、売却時に利用できる可能性がある特例、名古屋市で確認したい手続きを順番に解説します。
相続した不動産にかかる税金の基本
不動産を相続すると、相続した時点だけでなく、その後の所有や売却によっても税金が発生する場合があります。ただし、不動産を相続したすべての方に相続税がかかるわけではありません。
まずは、どの段階でどのような税金が関係するのかを整理し、申告や納税が必要か確認しましょう。
相続時・所有中・売却時で税金の種類が異なる
相続した不動産に関係する税金は、大きく「相続時」「所有中」「売却時」の3段階に分けられます。
相続時には、遺産の総額が基礎控除額を超える場合に相続税がかかります。また、亡くなった方から相続人へ名義を変更する相続登記では、登録免許税が必要です。
相続後も不動産を所有し続ける場合は、原則として毎年、固定資産税が課されます。市街化区域内にある土地や建物については、都市計画税もあわせて課される場合があります。
さらに、不動産を売却して利益が生じた場合は、譲渡所得に対して所得税や住民税などがかかる可能性があります。相続時に相続税を納めていても、売却時の税金は別に計算される点に注意が必要です。
|
なお、相続によって不動産を取得した場合、不動産取得税は原則として課税されません。ただし、生前贈与や遺贈の方法などによって扱いが異なる可能性があるため、個別の状況に応じた確認が必要です。
相続税がかかるかは遺産全体の金額で判断する
相続税は、不動産だけの価値を見て判断するものではありません。現金や預貯金、有価証券、生命保険金などの財産を含め、一定の債務や葬式費用などを差し引いた正味の遺産額をもとに判断します。
相続税の基礎控除額は、次の式で計算します。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、法定相続人が配偶者と子ども2人の合計3人であれば、基礎控除額は4,800万円です。正味の遺産額がこの範囲内であれば、原則として相続税はかかりません。
一方、正味の遺産額が基礎控除額を超える場合は、相続税の申告が必要になる可能性があります。相続税の申告・納税期限は、原則として、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。国税庁「相続税の申告と納税」
相続税には、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例など、一定の要件を満たすことで税負担を軽減できる制度があります。ただし、特例を適用した結果、納税額がゼロになる場合でも、相続税の申告が必要になることがあります。
不動産以外の財産や債務、相続人の人数によって判断が変わるため、早い段階で遺産の全体像を整理することが大切です。
土地・建物とマンションでは相続税評価の考え方が異なる
相続税を計算する際、不動産は一般的な売却価格ではなく、相続税のルールに基づく「相続税評価額」で評価します。土地、建物、マンションでは評価方法が異なるため、それぞれ分けて確認しなければなりません。
土地は、主に路線価方式または倍率方式によって評価します。路線価が設定されている地域では、道路ごとに定められた路線価を土地の面積に掛け、土地の形状や道路への接し方などを考慮して調整します。路線価が設定されていない地域では、固定資産税評価額に国税局が定める倍率を掛けて評価するのが基本です。
建物は、原則として固定資産税評価額をもとに評価します。固定資産税評価額は、毎年届く固定資産税の納税通知書に添付された課税明細書などで確認できます。
分譲マンションは、専有部分の建物と敷地利用権に相当する土地を分けて評価します。さらに、一定の居住用マンションについては、築年数や所在階、建物の総階数などを反映した評価方法が適用される場合があります。
同じ名古屋市内の不動産でも、所在地や面積、土地の形状、建物の用途などによって評価額は変わります。売却査定額や固定資産税評価額が、そのまま相続税評価額になるとは限りません。評価方法の判断が難しい場合や、利用できる特例を確認したい場合は、税務署や税理士などの専門家へ相談するとよいでしょう。
相続後に必要な登記・名義変更の手続き
不動産を相続しても、登記簿上の名義が自動的に相続人へ変更されるわけではありません。誰が不動産を引き継ぐのかを決め、必要書類をそろえて法務局へ相続登記を申請する必要があります。
相続した不動産の売却を考えている場合も、原則として亡くなった方の名義のままでは売却できません。遺産分割協議や書類収集に時間がかかる場合があるため、早めに準備を始めましょう。
相続登記の義務化と申請期限を確認する
相続登記とは、相続した土地や建物の登記名義を、亡くなった方から相続人へ変更する手続きです。一般的には「不動産の名義変更」とも呼ばれます。
2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。遺産分割協議によって不動産を取得した場合は、遺産分割が成立した日から3年以内にも、その内容に沿った登記を申請しなければなりません。
また、義務化前に発生した相続も対象です。2024年4月1日より前に相続したものの、名義が亡くなった方のままになっている不動産は、原則として2027年3月31日までに相続登記を行う必要があります。
正当な理由なく期限内に申請しなかった場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。法務省「相続登記の申請義務化について」
相続人が多い、連絡が取れない相続人がいるなどの事情により、期限までに遺産分割協議をまとめられないこともあります。その場合は、相続人であることを法務局へ申し出る「相続人申告登記」を利用することで、申請義務を履行できる場合があります。ただし、相続人申告登記は最終的な名義変更ではありません。後日、遺産分割が成立した場合には、改めて相続登記が必要です。
相続登記・名義変更の必要書類を準備する
相続登記の必要書類は、遺言書に沿って相続する場合、遺産分割協議によって相続人を決める場合、法定相続分どおりに相続する場合で異なります。
まずは登記事項証明書などで、土地・建物の所在地や地番、家屋番号、現在の名義人を確認しましょう。住所として普段使用している住居表示と、登記上の地番や家屋番号が異なることもあります。
亡くなった方の戸籍関係書類は、相続人を確定するために必要です。出生から死亡までに本籍地を移している場合は、複数の市区町村から戸籍謄本や除籍謄本などを取り寄せることがあります。
|
遺言書が自宅などで見つかった場合、種類によっては家庭裁判所での検認が必要です。一方、原本が公証役場に保管されている公正証書遺言や、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用した遺言書は、検認が不要です。
必要書類は相続関係や登記の状況によって増えることがあります。書類を集める前に相続関係図を作成し、「誰が相続人になるのか」「遺言書があるか」「遺産分割協議が必要か」を整理しておくと、準備を進めやすくなります。
名古屋法務局への申請方法と司法書士へ依頼する判断基準
相続登記は、相続人の住所地ではなく、相続した不動産の所在地を管轄する法務局へ申請します。名古屋市内の不動産であっても、区によって担当する本局・支局・出張所が異なるため、事前に名古屋法務局の管轄案内を確認しましょう。名古屋法務局「不動産登記の管轄区域一覧」
申請方法には、主に次の3つがあります。
- ・管轄する法務局の窓口へ提出する
- ・申請書と添付書類を郵送する
- ・登記・供託オンライン申請システムを利用する
自分で申請する場合は費用を抑えられる可能性がありますが、法務局では申請書の作成代行や、相続人同士の法律問題に関する判断までは行っていません。オンライン申請にも利用環境の準備や、原本書類の提出などが必要になる場合があります。
相続人と対象不動産が少なく、必要書類や遺産分割の内容が明確であれば、自分で手続きを進めることも選択肢になります。一方、次のような場合は、司法書士への依頼を検討するとよいでしょう。
- ・相続人や不動産の数が多い
- ・数世代にわたって相続登記が行われていない
- ・登記簿上の住所と亡くなったときの住所がつながらない
- ・遺言書の内容や相続関係が複雑である
- ・遠方にある不動産を相続した
- ・売却に向けて早めに名義変更を完了させたい
- ・申請期限が近づいている
司法書士へ依頼する場合は、必要書類の収集や申請手続きの代行範囲、報酬を事前に確認することが大切です。また、不動産の売却も予定している場合は、登記に必要な期間を不動産会社にも共有し、売却準備と並行して進めるとスムーズです。
不動産を相続した後に発生する費用
不動産を相続した後は、相続登記にかかる費用だけでなく、毎年の税金や建物の管理費も負担することになります。誰も住んでいない不動産であっても、所有している限り費用が発生するため、年間でどの程度の支出になるのかを整理しておくことが大切です。
登録免許税や司法書士報酬など登記にかかる費用
相続登記を行う際には、登録免許税がかかります。相続による所有権移転登記の登録免許税は、原則として次の方法で計算します。
登録免許税=固定資産税評価額×0.4%
計算に使用するのは、一般的な売却価格や不動産会社の査定額ではなく、固定資産税評価額です。土地と建物を相続する場合は、それぞれの評価額を確認します。
一定の条件を満たす土地については、登録免許税の免税措置を利用できる場合があります。適用期限や対象となる登記が定められているため、申請前に法務局や司法書士へ確認しましょう。
司法書士へ相続登記を依頼する場合は、登録免許税とは別に報酬が必要です。報酬は一律ではなく、相続人や不動産の数、戸籍収集の範囲、遺産分割協議書の作成支援など、依頼内容によって異なります。
このほか、戸籍謄本や住民票、固定資産評価証明書などの取得手数料、郵送費がかかります。遠方の不動産や複数の土地・建物を相続した場合は費用が増えることもあるため、司法書士へ依頼するときは、報酬だけでなく登録免許税や実費を含めた見積もりを確認しましょう。
固定資産税・都市計画税と名古屋市への届出を確認する
不動産を相続した後は、固定資産税の負担が続きます。名古屋市では、毎年1月1日時点で市内の土地や家屋を所有している方に固定資産税が課されます。市街化区域内にある土地・家屋には、都市計画税もあわせて課される場合があります。
年の途中で所有者が亡くなった場合でも、その年度分の固定資産税がなくなるわけではありません。未納分がある場合は相続人が引き継ぐことになるため、納税通知書や支払い状況を確認しましょう。
相続登記が完了するまでの間は、登記簿上の名義が亡くなった方のままになっています。そのため名古屋市では、土地・家屋を現に所有している相続人などが「固定資産現所有者申告書」を提出する制度を設けています。
申告期限は、現所有者であることを知った日の翌日から3か月を経過した日です。必要書類を添えて担当の市税事務所へ提出するほか、電子申請を利用することもできます。法務局で相続登記を済ませた場合は、固定資産現所有者申告が不要となる場合があります。名古屋市「現に所有している者の申告制度」
納税通知書の送付先を変更したい場合は、不動産が所在する区を担当する市税事務所へ「書類送達先等届出書」を提出します。相続登記と名古屋市への申告は別の手続きであるため、登記の進み具合に応じて必要な届出を確認することが大切です。
空き家やマンションの管理にかかる維持費にも注意する
相続した不動産を使用していなくても、適切な状態を保つための維持費がかかります。特に空き家は、定期的に換気や清掃、庭木の手入れを行わないと、建物の劣化や近隣への影響につながる可能性があります。
一戸建ての空き家では、主に次のような費用が考えられます。
- ・電気・水道などの基本料金
- ・火災保険や地震保険の保険料
- ・建物の点検・修繕費
- ・庭木の剪定や除草費
- ・清掃や不用品処分の費用
- ・管理会社へ支払う空き家管理費
- ・遠方から確認に行く場合の交通費
分譲マンションの場合は、誰も住んでいなくても、原則として管理費や修繕積立金の支払いが続きます。駐車場を契約している場合は、その使用料も確認が必要です。また、大規模修繕などに伴って一時金の負担を求められる可能性もあるため、管理組合の総会資料や長期修繕計画を確認しておきましょう。
複数の相続人で不動産を共有する場合は、誰が費用を支払うのかを曖昧にしないことも重要です。固定資産税や管理費、修繕費などの負担方法を事前に話し合い、支払いの記録を残しておくと、後の行き違いを防ぎやすくなります。
相続直後に売却・居住・賃貸の方針を決められない場合でも、まずは年間の税金と維持費を一覧にし、所有を続けた場合の負担を把握しておきましょう。
相続した不動産を売却するときの税金と特例
相続した不動産を売却して利益が出た場合は、譲渡所得に対して所得税・住民税などがかかります。一方、一定の条件を満たすと、税負担を軽減できる特例を利用できる可能性があります。適用期限があるため、売却を検討する段階で確認しておきましょう。
売却益にかかる譲渡所得税の計算方法
譲渡所得は、売却価格そのものではなく、次の式で計算した利益を指します。
譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用-特別控除額
取得費には、亡くなった方が不動産を購入したときの代金や仲介手数料などが含まれます。譲渡費用は、売却時の仲介手数料や測量費など、売却に直接かかった費用です。
相続した不動産では、被相続人の取得費と所有期間を引き継ぎます。購入時の売買契約書などが見つからないと税額に影響する可能性があるため、関連書類を探しておくことが大切です。
売却時に利用できる主な特例を確認する
相続不動産の売却では、「取得費加算の特例」や「相続した空き家の3,000万円特別控除」を利用できる場合があります。
取得費加算の特例は、納付した相続税のうち一定額を取得費に加算できる制度です。一方、空き家の特別控除は、被相続人が住んでいた家屋などを一定の条件で売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる制度です。相続人が3人以上の場合は、1人あたりの上限が2,000万円になります。
相続した不動産は期限と活用方法を整理して判断する
相続した不動産をどのように扱うかは、税金や維持費だけでなく、相続人それぞれの希望や生活状況も踏まえて判断する必要があります。
すぐに結論を出すことが難しい場合でも、相続に関する期限を確認したうえで、売却・居住・賃貸の選択肢を比較しておきましょう。必要に応じて専門家へ相談しながら進めることで、相続人同士の認識の違いや手続きの遅れを防ぎやすくなります。
相続人同士で売却・居住・賃貸の方針を話し合う
相続人が複数いる場合は、不動産を誰が取得し、今後どのように活用するのかを話し合います。主な選択肢は、売却する、相続人が居住する、第三者へ貸し出す、当面の間そのまま所有する方法です。
売却する場合は、不動産を現金化して分けやすくなる一方、売却価格や売り出す時期について相続人同士で意見をそろえる必要があります。共有名義にした不動産全体を売却するには、原則として共有者全員の同意が必要です。
相続人の一人が居住する場合は、その方が単独で不動産を取得するのか、共有名義のまま使用するのかを明確にします。不動産を取得する方とほかの相続人との公平性を保つため、代償金を支払う方法などが検討されることもあります。
賃貸に出す場合は、家賃収入を得られる可能性がありますが、入居者募集や修繕、契約管理が必要です。賃貸を始める前に、周辺の賃貸需要や想定される収支、リフォームの必要性を確認しましょう。
話し合いでは、次の点を整理しておくことが大切です。
- ・不動産を取得する相続人
- ・売却・居住・賃貸に対する各相続人の希望
- ・売却する場合の希望価格や時期
- ・税金や管理費を負担する方
- ・家財や残置物の整理方法
- ・遠方に住む相続人との連絡方法
- ・専門家へ相談する場合の窓口
口頭で合意するだけでなく、話し合った内容を記録に残しておくと、その後の手続きを進めやすくなります。
税理士・司法書士・不動産会社の相談範囲を使い分ける
相続不動産に関する手続きは、相談内容によって適した専門家が異なります。すべてを一つの窓口だけで解決しようとせず、知りたい内容に応じて相談先を使い分けましょう。
税理士は、相続税の申告が必要かどうかの判断や税額の計算、利用できる特例の確認など、税務に関する相談先です。不動産の売却を予定している場合は、売却後の譲渡所得や確定申告についても相談できます。
司法書士は、不動産の相続登記や名義変更に関する手続きを扱います。相続関係が複雑な場合や、必要書類の収集・登記申請を任せたい場合は、司法書士への相談を検討するとよいでしょう。
不動産会社は、物件の査定や売却方法の提案、販売活動、買主との条件調整などを担当します。売却だけでなく、賃貸に出す場合の需要や必要な修繕について相談できる会社もあります。
相談内容と主な相談先は、次のように整理できます。
- 相続税や売却時の税金:税理士
- 相続登記や名義変更:司法書士
- 遺産分割をめぐる争いなどの法律問題:弁護士
- 不動産の価格や売却方法:不動産会社
- 建物の状態や修繕の必要性:建築士・施工会社
どこへ相談すべきか分からない場合は、現在困っていることや今後の希望を整理し、関係する専門家と連携できる不動産会社へ相談する方法もあります。
名古屋での不動産に関する売却相談はハウスドゥ東山公園駅前へ
相続した不動産を売却するか迷っている段階では、まず現在の価値や売却に必要な準備を把握することが判断材料になります。
ハウスドゥ東山公園駅前では、名古屋市内の土地・戸建て・マンションなど、相続不動産の売却相談を承っています。物件の状態や立地、相続人のご希望を確認したうえで、査定価格だけでなく、想定される売却方法や進め方についてもご案内します。
「売却するかまだ決まっていない」「相続人同士で話し合うために価格を知りたい」という段階でもご相談いただけます。税務や登記について専門的な判断が必要な場合は、税理士や司法書士への確認も含めて進めることが大切です。
名古屋で相続した不動産の扱いに迷っている方は、選択肢を整理するための第一歩として、ハウスドゥ東山公園駅前へお気軽にご相談ください。
